端午の節句に健やかな成長を願う日本の伝統文化「こいのぼり」。日本では社会が抱える問題などでほとんどなくなっているなか、フランスで新たな進化を遂げていた。
■江戸時代に武家で始まった「こいのぼり」
千葉県市川市で5月5日まで開催されているのが「第34回 国分川鯉のぼりフェスティバル」だ。約500匹ものこいのぼりが、大空を悠々と泳いでいる。
近隣住民(40代)
「すごく大きくて圧巻ですよね。どう、こいのぼり、かっこいい?」
息子
「うん」
一方では、こんな声が上がっている。
近隣住民(80代)
「今は(街でこいのぼりを)もうほとんど見ないですもんね」
「(Q.寂しいですか?)そうですね」
近隣住民(30代)
「賃貸だから、大きいのを飾ることもできないし」
「僕も集合住宅だったので、外に飾るという習慣はなかったです」
今や5月の風物詩こいのぼりは、イベントなどでしか見ることが少なくなった。
こいのぼりの歴史は、江戸時代にさかのぼる。
武士の家では、男の子の健康と出世を願いのぼりを掲げていた。その後庶民に広がり、中国の「コイが滝を登り切ると竜になる」という伝説から、立身出世の象徴とされたコイを描くようになったという。
■減少理由に「個人情報の問題」も
家庭でこいのぼりをあげなくなった理由は、住環境の変化だけではなく、日本社会が抱える問題もあるという。
創業50年を超えるこいのぼり店で話を聞いた。
秀光人形工房 二代目 金子泉匠さん
「こいのぼり自体も少子化の波にあらがえなくて、昔より厳しい状況になってきています」
こう話すのは、秀光人形工房二代目・金子さん。売り上げはピーク時の7割に減少し、近年はこんな問題もあるという。
金子さん
「男の子が生まれたことを隠したいというような、個人情報の問題を指摘する人もいるので、外に大々的に飾るのは少なくなってしまいました」
実際に親からは、危機感を持つ声が上がっている。
近隣住民
「(子どもの)名前も入れられるよと言われたけど、名前はさすがに怖いなと思ってやめました。個人情報がばれると嫌だなと思って」
こうしたなか、金子さんの店で主流なのは、室内に飾れるコンパクトタイプのこいのぼりだ。
デザインもリアルなコイではなく、かわいらしいものが人気だという。ただ、時代が変化していくなかでも、子どもの健やかな成長を願う、こいのぼりの文化を守り続けていきたいと話す。
金子さん
「江戸時代からお子さんが栄えたり、病気にならないように、親の願いが込められて、伝統的に続いてきているものなので。職人としての意地と矜持(きょうじ)をもって、皆さんのためになれるよう願いを込めて少しずつ手作りで伝えていけたらと思います」
■こいのぼりを後世に
文化の継承が危ぶまれているこいのぼりだが、そのこいのぼりを再利用する活動が注目されている。
茨城県常陸太田市では、2013年から地域の有志が集まり、処分されるこいのぼりを市から譲り受け、トートバッグにリメイクしている。
価格は、販売時期や場所で前後するが、4500円ほど。こいのぼりの紋様を生かしたデザインが特徴で、一つひとつ表情が違うところも人気だそうだ。また、こいのぼりは強風などでも耐えられる丈夫で軽い生地が使われているので、バッグに向いているという。
現在は50代~70代の地域の有志が週に一度集まり、傷んだこいのぼりをバッグにするために、洗濯から裁縫まで手作業で行っているという。
プロジェクトの発起人でアーティスト・ミヤタユキさんは、「こいのぼりをあげる家庭が徐々に減っているなか、こいのぼりに触れたことがない子どもが増えてきている。バッグとして形を変えることで日本の伝統文化を守っていきたい」と話した。
ドイツやフランス、オランダから問い合わせが多いそうで、問い合わせは日本と海外で半々くらいだという。
■パリジェンヌに大人気「KOINOBORI」
そして、フランスではバッグだけではなく、こいのぼり自体の人気が高まっているという。
デザイナーが作ったフランス産のこいのぼりは、日本の「和」の紋様を生かしつつ、カラフルでポップなデザインが施されている。
2003年に販売したところパリで注目され、たちまちパリジェンヌの間で人気となり、今では1年中部屋に飾るインテリアとして女性に人気だという。こいのぼりは、横ではなく縦に飾るのが主流のようだ。
さらに、こいのぼりは男の子のものという概念を越え、女の子がいる家庭でも人気ということで、「子どもがすくすくと成長してほしい」という願いもしっかり受け継がれているということだ。
日本でこのブランドの代理店を運営するルース・トーマスさんは、「海外にとってはこいのぼりは日本らしい新鮮なもの。これからも日本の大切な伝統文化を世界に発信していきたい。こいのぼりを“恋のぼり”と願いを込めて、プレゼントするのもオススメです」と話した。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年5月1日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp


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